敷地は国内有数の観光地江の島。現状では江の島にあまり関係のない観光地としての開発と信仰対象としての側面が目立つが、1500年の歴史の中で生活・漁・植物学・マリンスポーツなどの多くの要素を抱えることになった場所であり、1964年にはオリンピック開催のための大規模埋立てが行われ、自然と人工の両側面を抱える島である。そうした多様性、二重性を踏まえた環境のデザインができないかと考えた。
具体的には、現状駐車場やオリンピック会場としての資材置き場としてしか利用されていない、島全体の1/3を占める埋立地の周囲にある漁港、岩壁、大堤防、ヨットハーバー、旧漁村集落を建築によって顕在化し、首都圏近郊から訪れる人や島民が利用できる短期〜中期の滞在場所に加え、銭湯、屋内・屋外ホール、マリンスポーツの観戦場、展望台、レストランなどを計画し、そうした多様性を同時的、連続的に認識できるようなランドスケープで繋いだ。
従来観光地とは訪れる多くの人々にとって表層的な理解に留まるような場所であったが、既存環境と新たな建築・ランドスケープが一体となった計画によって江の島の生活・産業・文化・環境の多様性が幅広くかつ深く認識できるような環境へと変化するのではないか。
詳細な説明はissuu(外部サイト)よりご覧いただけます。
歴史を肯定し、多様性の中で江の島を更新する
大学卒業設計
実施年月:2020年4月〜2021年2月
主要構造:鉄骨造
想定敷地:神奈川県藤沢市 江の島